奥克彦さんの話

 前回大会において早稲田大学が、主催者であるオックスフォード大学ラグビー部から、

いの一番に指名され、招待を受けた背景には、

2003年にイラクで亡くなられた故奥克彦先輩の存在が大きく影響しています。

 奥さんは、早大を卒業後、外務省に入省してほどなく、

オックスフォード大に留学する機会を得て、同大のラグビー部に所属しました。

そして、日本人として初めてオックスフォード大の先発メンバーとして試合に出場するなど、

選手としておおいに活躍しただけでなく、

卒業後もラグビーを通じた英国と日本(特に早稲田大学)の架け橋となるべく、

まさに獅子奮迅の働きをされた方なのです。

 

そんな奥さんの活力、バイタリティに魅せられたオックスフォード大の仲間たちは、死後15年を経過した今も、彼の命日である11月末に時期を合わせて、

「奥メモリアルカップ」と称する試合を毎年欠かさずに実施しています。

 

 生前に奥さんが、後輩である私たちに常々訴えようとした言葉は、

 

「当たり前のことをするな!自分にしかできないことを、死力を尽くしてやりぬけ!」

 

でした。実は奥さんは、早稲田のラグビー部を2年生の途中で退部しています。

理由は、外交官になるための勉強に専念するというものでした。

しかし、奥さんはその後ずっと、途中で退部したことを後悔していた、と言われています。

今となっては、あの時奥さんがラグビー部をやめた本当の理由については、誰にもわかりません。

ただ、途中でやめてしまったからこそ、彼はその後の人生において、

外交官としての仕事やラグビーに対して全力で取り組み続けたのだということがよくわかるのです。

きっと、一瞬の妥協が生涯の禍根に結びつくことを誰よりも理解し、

二度と同じ過ちを繰り返さないために、全力で走り続けたのだと思います。

 

私たち早稲田の後輩たちにとっては、奥さんこそが“Noblesse oblige”なのです。

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